砂金の調査記録(5)――兵庫県佐用町の砂金を探る
日本においてどの川で砂金が採れるのかという本研究所のフィールドワークの調査報告です。
今回は、兵庫県佐用町の千種川中流域にあたる佐用川の砂金の産出状況について調査を行いました。
兵庫県佐用郡佐用町の砂金
「千種川」(ちくさがわ)は、兵庫県南西部を流れる二級河川に指定されており、兵庫県宍粟市千種町に端を発して南側にある赤穂市の播磨灘まで流れている河川です。
赤穂市の北側には佐用郡佐用町(さようちょう)があり、千種川の上流にあたる佐用川が流れています。
この佐用川については私自身も過去に調査に訪れており、その上流の平福(ひらふく)という場所において0.1~0.2mm程度の小さな砂金を採集したことがあります。
今回は、そこから下流川の佐用町の中心部を流れる佐用川でどれくらいの大きさの砂金が採集できるかについての調査を行いました。
具体的な砂金の採集ポイントは、西はりま消防組合佐用消防署の眼の前の場所になります。
以下のように、この場所には水面から基盤岩が露出しており、岩石としては流紋岩になります。
佐用川の基盤岩
基盤岩に見られる多数の亀裂
見て頂くと分かるとおり、この基盤岩には多数の細かい亀裂や割れ目が走っており、ここに砂金が入り込んでいることが考えられます。
今回は、これらの岩石を割ってその中に入っている土砂を集める「盤たたき」を行いました。
佐用川の砂金の特徴
ここの岩盤には多数の亀裂が入っているため、バールを差し込むだけですぐに割れてしまい、その岩石とそこに付着した土砂を取り出すことができます。
基盤岩の岩石を取り出す
その岩石と土砂を集めて水桶の中に入れていき、それを洗うと砂金を含む土砂を水桶の中に集めることができます。
基盤岩の岩石を水桶に入れて洗浄する
この水桶の底には砂金を含む土砂が溜まっていますので、その土砂をパンニング皿でパンニングすると、以下のような1~2mm、さらには3mm程度の大きさの砂金を採集することができました。
佐用川で採集された砂金(約1~2mmが2粒)
佐用川で採集された砂金(約3mm)
佐用町を流れる佐用川は、以上のような細かい割れ目が入った基盤岩を多数見つけることができます。
具体的な場所で言えば、JR佐用駅からJR上月駅周辺の佐用川の水面に露出している基盤岩があれば、どこでも今回と同じサイズの砂金が採れるのではないかと推察されます。
また、河床までも降りやすいので、ある程度の大きさの砂金を採集したいと考える場合には、佐用町周辺の佐用川は非常におすすめの場所だといえるでしょう。
千種川流域の砂金
私自身、これまでさまざまな場所で砂金の調査を行っていますが、その多くは取れないか取れたとしても1mm未満、大きくても2mm程度ということがほとんどです。
そのような中、3mmという大きさの砂金を実際に目にするとその存在感は明らかに違ってきます。
今回、佐用川では10分程度の作業で3mmほどの大きさのものが普通に採集できましたので、千種川流域は砂金を取る場合には非常に有望な場所だといえます。
千種川の上流にはたくさんの支流があるため、今後とも引き続き調査を行う予定です。