「メガネ掘り」で砂金を採る――大粒の砂金を狙う
川で砂金を採る場合、砂金を含む土砂を集めてパンニング皿を使って採集することがよく知られた方法だといえます。
しかし、ある程度の大きさの砂金が出ることがあらかじめ分かっている場合には、水中メガネを使って砂金を直接集める「メガネ掘り」というやりも存在しています。
今回は、砂金を直接採るメガネ掘りの方法についてご紹介していきましょう。
メガネ掘りの特徴
まず、メガネ掘りとは何かですが、これは水中に沈んでいる砂金を水中メガネで見ながらピンセットなどを使って直接採集する方法です。 メガネ掘りをする場合には、以下のような道具を使用します。
タコメガネ、ピンセット、油差し、ひっかき棒
メガネ掘りでは、これらの道具を使って川の水底にある砂金を採っていきます。
写真に映っている右端の水中メガネは「タコメガネ」はともよばれるもので、これで水中の様子を見ながら砂金を探していきます(下図参照)。
メガネ掘りの様子
このとき、水中で見つけた砂金についてはピンセットではさむか、水中にプラスチックの油差しを入れてその砂金を吸い取ります。
さて、砂金を含む土砂をパンニング皿で処理して砂金を集める方法とは違い、メガネ掘りではそれができる条件というものがいくつか存在しています。
まず、砂金を直接採ることになるメガネ掘りでは、ある程度の大きさの砂金が出る場所でないと砂金の粒そのものが見えないため、小さな砂金しか出ない場所ではメガネ掘りは適していません。
そのため、メガネ掘りをするためには、2~3mm以上の大きさの砂金が出る場所であることが必要だといえます。
また、メガネ掘りでは川の水底に落ちている砂金を直接採る作業をするため、砂金がどの場所にあるのかといった見当をつけられるスキルも求められます。
さらに、砂金を肉眼で見つけるためには日光の光を受けて反射する方が見やすいため、曇り空よりも直射日光の射し込む晴天で作業をすることが推奨されます。
以上のことから、メガネ掘りはある程度砂金採りに慣れている中級者から上級者向けの砂金採りの方法だといえるでしょう。
メガネ掘りの手順
では、実際にメガネ掘りをする際に適した場所とその方法について、以下に解説していきます。
まず、メガネ掘りができる場所については、2つの候補が挙げられます。
ひとつは川の基盤岩が砂金のトラップになっているような場所です。
基盤岩における砂金のトラップ
上に示した図では左上が川の上流となっており、中央に横切っている岩盤の割れ目は川の流れに対して垂直になるように走っています。
このような中央の岩盤の割れ目の底は上流から流されてきた砂金の粒が溜まりやすい場所となるため、メガネ掘りをするのに最適の場所だといえます。
もうひとつは、岩盤の土砂を処理した後にメガネ掘りをする方法です。
以下の写真は、岩盤に溜まった土砂を処理する前の状況です。
基盤岩における土砂
通常、砂金採りをする場合には、まずはこの岩盤の底の土砂を集めてパンニングをして砂金を採集します。
岩盤から土砂を取り除くと以下のような綺麗な状態になりますが、実はこの状態ではまだ取り切れていない砂金というものが存在している可能性があります。
土砂を取り除いた後の基盤岩
メガネ掘りは、このような岩盤の土砂を取り除いた後にも行うことで、取りこぼしていた砂金を採るということになります。
上図の場合、砂金の粒は岩盤の底の部分か、割れ目の部分に残っている可能性がありますので、メガネ掘りではその部分を重点的に探していきます。
もちろん、こちらの「基盤岩の底の土砂を集める――小型ポンプの活用」のページで紹介したように、岩盤の底の水をポンプで吸い取って砂金を集める方法もありますが、岩盤の土砂を取り除いた後にここまで綺麗な状態にできるのであれば、メガネ掘りで砂金を採ることもできるのです。
川で砂金採りをする場合、とにかく土砂をできるだけ多く集めてそれをパンニング皿を使って砂金を採集していくことがほとんどです。
ただ、これは見方を変えれば砂金がその土砂のどこにあったのかがよく分からない状態で砂金を採っている状況ともいえます。
これに対してメガネ掘りは自分の肉眼で砂金を見つけてそれを直接採るため、やはりみずからの手で砂金を採るというかなり高い満足感を得られることがメガネ掘りをすることの最大のメリットだといえるでしょう。
特に、川の上流から砂金の粒が定期的に流されてくるような「砂金の寄せ場」がある場合には、このようなメガネ掘りで砂金を直接採る方が労力もかからず手軽な場合もありますし、時には大きな砂金の粒が引っかかっていることもあるようです。
パンニング皿を使って砂金を採ることに慣れてきた中級者の方は、次のステップとして以上のようなメガネ掘りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
砂金の集まり方と採り方
今回は水中メガネを使って砂金を採るメガネ掘りを紹介してきました。
川で砂金を採る場合にはパンニング皿を使うことが一般的ですが、砂金の状態によってはメガネ掘りの方が適していることもあります。
同じ川で砂金を採るといっても、実は日本の地域によって砂金の採り方というものが違っており、その歴史の中でそれぞれの方法が発達してきたという事情があるのです。
たとえば、山梨県などの川では上流から定期的に砂金の粒が流されてくるという特徴があるため、わざわざ基盤岩の土砂をかき集めてパンニングをしなくても、メガネ掘りでも十分に大粒の砂金を採ることができるといったこともあります。
さまざまな砂金の採り方を知っておくことで、それぞれの状況に応じた適切な採り方を選択できれば大幅に労力を削減することにもつながるといえるでしょう。