砂金の調査記録(1)――岡山県小田郡矢掛町
川で砂金が採れるという事実を知ってからというもの、私はこれまで日本各地の川を訪ねてはそこでどの程度砂金が採集できるのかというフィールドワークを重ねてきました。
今回はそのひとつ、岡山県の小田川という川の上流において実施した砂金の調査記録についてご紹介しましょう。
岡山県小田郡矢掛町の砂金
小田川は、岡山県総社市を流れている高梁川の支流のひとつで、井原市から東に向かって流れています。
今回のフィールドワークで私が訪れたのは、その小田川のさらに上流にあたる岡山県小田郡矢掛町(やかげちょう)という場所です。
この矢掛町には矢掛町立美川小学校があり、そのすぐ目の前に広がる小田川では以下のような岩盤が露出している場所が見られます。
岡山県小田郡矢掛町の小田川上流域
この小田川の岩盤には、川の流れに対して岩盤の割れ目が直角になっているところが非常に多く存在しています。
小田川の基盤岩とその割れ目
本サイトでもすでにお伝えしているように、このような岩盤の割れ目には上流から流されてきた砂金が入り込みやすいという特徴があります。
その際、岩盤の割れ目が川の流れをさえぎるような形であればあるほど、そこに金の粒子が入り込んでとどまり続けることになります。
この小田川上流域では、岩盤の割れ目が川の流れに対して直角になっている場所がかなり多く存在しているところが非常に特徴的です。
岩盤の割れ目の土砂を収集・選別する
それでは早速、この隙間に入った土砂を集めて選別し、砂金が採集できるかどうかを調査してみましょう。
基盤岩の隙間の土砂を採集する場合には、その上に生えている植物を採集する「草の根引き」という方法を用います。
バールを基盤岩の草の根の下に差し込み、草と土砂を取り出します。
基盤岩の草の根と土砂を集める
以上のようにして集めた草の根と土砂を水桶の中で洗浄し、草の根についている土砂のみを水の中に残していきます。
また、砂金は比重が大きいことから土砂の一番底に溜まるため、それ以外の水の中にある土砂は取り除きます。
集めた土砂を洗って砂だけを残す
水桶の中に残ったこの砂をパンニング皿で選別し、砂金があるかどうかを調査しました。
砂金の調査結果
以上の手順で砂金の有無を調べたところ、砂金の粒を2つ採集することができました。
どちらも大きさにして約0.1mmほどの粒ですが、砂金採集のセオリー通り、基盤岩の割れ目の土砂の中に砂金を見つけることができました。
今回は、基盤岩の草の根引きを行いましたが、砂金は深いところに入り込みますので、岩盤の割れ目のさらに底の部分にはより大きな砂金がある可能性は充分に考えられます。
作業時間にして1時間ほどでしたので、場所とポイントさえ間違えなければ日本の多くの河川では砂金採集ができるということを改めて確認することができました。