パンニング皿の「慣らし」作業――砂金採りの事前準備

これから砂金採りにチャレンジされる方にとって、新品のパンニング皿を手に入れたときには最初にして欲しい作業があります。

それは、パンニング皿の「慣らし」です。

実は、最初にこの作業をしておくかどうかで、川で砂金が採れるかどうかを左右してしまうことがあるのです。

今回は、実は重要な新品のパンニング皿の慣らしの作業についてご紹介していきましょう。

新品のパンニング皿の注意点

私自身もそうですが、新品のパンニング皿を購入すると早速それを使ってみたくなると思います。

ただ、新品のパンニング皿というものは、そのままではかなり使いにくいところがあります。

どういうことかというと、新しいパンニング皿の表面には撥水加工のコーティングがされており、それによって水が弾かれてしまうとパンニング皿の中で自分の思ったとおりに水の操作をすることができないのです。

これがどういう影響を及ぼすのかというと、パンニング皿を使って砂金を含む土砂を分離していくと最後には砂鉄と砂金が残りますが、このときにパンニング皿の中で水の流れを思ったように操作ができないと、砂金を分離する作業がとても難しくなるのです。

たとえば、同じパンニング皿でも長期間使用していて水になじんだものであれば、砂鉄と砂金を分離する作業がとてもやりやすくなります。

以下の動画では、私が長い期間使用していたパンニング皿の中で水を動かして砂鉄と砂金とを分離している様子について解説をしています。


パンニング皿で砂鉄と砂金を分離する
(画像をクリックで動画を再生)

このように、パンニング皿の中で水をあおるように動かすことで、砂鉄と砂金を分離していくわけです。

これに対して、新品のパンニング皿の場合、パンニング皿の中の水が撥水によって水玉になり、水を思ったように動かすことが難しくなります。

次の動画では、新品のパンニング皿の中の水の動きについて説明をしていますので、ご覧ください。


新品のパンニング皿における水の動き
(画像をクリックで動画を再生)

このように、パンニング皿の中で水が弾くように動いてしまうと砂金を選別する作業に時間がとてもかかってしまうことになります。

そうなると、限られた時間の中でより効率的に砂金を手に入れることもできなくなってしまいます。

そのため、新品のパンニング皿を手に入れたときには、それを使う前にその慣らしの作業をしておくことが実は重要だといえます。

パンニング皿の慣らしの作業

新品のパンニング皿を慣らす作業といっても、それほど難しいことをする必要はありません。

以下のように、パンニング皿の中に河原にある土砂と水を入れてそれを揺する動作をするだけです。


新しいパンニング皿に土砂を入れる

その際、礫岩(れきがん)をはじめ、大小さまざまな大きさの石や砂を入れると、より早くパンニング皿の表面のコーティングを剥がすことができます。

このようにして実際にパンニング皿の慣らしの作業を行っている様子については、以下の動画で確認してください。


新品のパンニング皿の「慣らし」の作業
(画像をクリックで動画を再生)

このような往復運動を10~20回行うと、パンニング皿の底には傷が付いてきます。

パンニング皿がこの状態になると、水を入れたときに水を弾くことがなくなってきます。

そうなると、使い慣れたパンニング皿のように、砂鉄と砂金の分離の作業がしやすくなってくるわけです。

この作業をした後のパンニング皿における水の動きについては、次の動画で説明をしています。


「慣らし」の作業が終わったパンニング皿
(画像をクリックで動画を再生)

新品のパンニング皿を購入した後にこのような慣らしの作業をしておけば、スムーズに砂金を選別する作業が効率的に行えるようになります。

パンニング皿は消耗品

また、パンニング皿は消耗品であることに注意をしておく必要があります。

私も何度か経験がありますが、パンニング皿の底に砂金を見つけて喜んでいるときに、そのパンニング皿を持って川から出ようとした際にそれを岩にぶつけて割ってしまい、せっかく苦労して集めた砂金をその割れたところから流してしまったということがありました。

まだ新しいパンニング皿ではこのようなことはまず起こらないのですが、プラスチック製のパンニング皿は太陽の光を浴びたり水と土砂などの摩擦でこすれて劣化していくため、だんだんともろくなっていきます。

そのため、パンニング皿の寿命が近づいてくると、少し当てただけで欠けたり落とすとすぐに割れたりすることにつながっていきます。

実際、私が使っていたパンニング皿は以下のような感じでガムテープで補修をしながら使ってきましたが、新品のパンニング皿と比べてみると、かなり年季が入っていることは一目瞭然です。



破損して補修を行ったパンニング皿

このように、パンニング皿は消耗品ですので、早めに取り替えておくことをおすすめしておきます。

また、新品のパンニング皿を手に入れたときは、前のものと変わらない感覚で砂金採りが継続できるように慣らしの作業は必須だといえます。