堆積作用と変成岩(1)――堆積物の粒径と流速の関係
堆積作用と変成岩に関して、以下の問題を考えてみましょう。
(問) 堆積作用と変成岩に関して、次の問いに答えよ。
下図は、水中で堆積物の粒子が動き出す流速および停止する流速と粒径との関係を示したものである。
曲線Aは、徐々に流速を大きくしていったときに、静止している粒子が動き出す流速を示す。
曲線Bは、徐々に流速を小さくしていったときに、動いている粒子が停止する流速を示す。
図中の領域Ⅰ~Ⅲと次の説明ア~ウの組み合わせとしてもっとも適当なものを、下の(1)~(6)のうちからひとつ選べ。
- 運搬されていたものが堆積する領域
- 運搬されていたものは引き続き運搬されるが、堆積したものは侵食・運搬されない領域
- 堆積していたものが侵食・運搬される領域
領域Ⅰ | 領域Ⅱ | 領域Ⅲ | |
(1) | ア | イ | ウ |
---|---|---|---|
(2) | ア | ウ | イ |
(3) | イ | ア | ウ |
(4) | イ | ウ | ア |
(5) | ウ | ア | イ |
(6) | ウ | イ | ア |
解法のポイント
粒子の大きさと流速の関係が問われる大変オーソドックスな問題です。
ただし、問題文に挙げられているグラフがいったい何を示しているのかという説明を聞いたことがなければ、何を問われているのかすらまったく分からないという問題でもあります。
問題文に説明されているような曲線Aと曲線Bにおける「粒径」と「流速」の関係というと難しく聞こえますが、実はここではとても単純な事実が述べられているにすぎません。
まず、曲線Bから説明すると、曲線Bは水中を動いているさまざまな大きさの粒子のうち、水の流れが弱まってくると、「礫」→「砂」→「泥」の順序で動きが弱まっていって堆積していく境界線をあらわしています。
すなわち、粒子の大きな「礫」からより小さな「砂」と「泥」の順番に堆積していくということです。
次に、曲線Aは、水底に沈殿して動かなくなっているいろいろな大きさの粒子に対して流水の流れが次第に大きくなっていくと、最初に「砂」が動き出し、次いで「泥」および「礫」が動くことをあらわしています。
以上のことから、「領域Ⅰ」は堆積している状態の粒子が動き出そうとする状況、「領域Ⅲ」は動いている粒子がこれから堆積していく状況、「領域Ⅱ」はその中間の状況、というそれぞれの対応関係さえ頭に入れておけばこの問題の正答にたどりつくことができます。