宇宙において「生命」と「文明」が存在する確率
私たち人類はこの地球上において社会と文明を築き、他のさまざまな動物や植物とともに生きています。
ところで、その地球の外側、つまり広大な宇宙の中には私たちのような生命体やその文明が他にも存在しているのでしょうか。
今回は、宇宙において「生命」と「文明」が存在する確率の話について考えていきましょう。
生命出現の可能性
まず、私たちのような生命体がこの世に出現するためには、その前提として生物学上において重要な元素、すなわち「水素」「炭素」「窒素」「酸素」などが必要となります。
次に、地球をひとつの基準として考えた場合、地球と同様の条件が与えられたならば同じような生命が生まれる可能性があると考えられます。
では、そのような生命出現の可能性はどの程度なのでしょうか。
天文学者マイケル・ハートによれば、「地球型生命の発生に必要な条件」として以下の4点を挙げています。
上記に挙げた4つの条件を満たす惑星をもつ恒星系(太陽系)の数は、全恒星の0.1%以下といわれています。
これをふまえて、宇宙全体の恒星の数から生命が出現する可能性のある恒星の数を試算すると、次のようになると考えられます。
上記の概算の結果、生命が誕生する条件が整った恒星の数はこれだけ存在することになります。
ただし、それらの恒星内部において実際に生命が誕生する確率はさらにずっと低くなると考えられます。
ある生物学者によれば、このように生命発生の条件のそろった惑星上で最初にできた原子細胞体からタンパク質合成の模索等の複雑な進化を経て、現在の真核で多細胞の生物が生まれる確率は、「1040分の1」程度ではないかと指摘しています。
「ドレイクの方程式」
生命体の誕生をふまえ、そこからさらに「文明」が生じうる可能性について考えてみましょう。
コーネル大学のフランク・ドレイクは、銀河系内の「知的文明の数」(N)を指定する方法として、次のような「ドレイクの方程式」と呼ばれる公式を考案しました。
上記のRからはじまる記号の列は、宇宙において知的文明が成立するために必要となるさまざまな因子をあらわしています。
実際のところ、この式の各記号に代入するべき具体的な数値については私たちは持ち合わせていません。
ただ、この式は現在までにさまざま提案された中でも最良の推定方法と捉えられています。
なお、Nの値は数個程度として見積もられています。
以上までに示した生命体の発生する環境や条件に加え、そこに文明が形成されるかどうかを考えてみると、その確率は数値にして非常にわずかだといえます。
私たちが地球上においてひとつの生命体として存在し、文明を築き上げてそこに生きていることは、ほとんど「奇跡」に近いような出来事として捉えることができるのです。