「雨滝自然科学館」で地球科学を多角的に学ぶ

本サイトでは「地学=地球科学」に関する学問について解説していますが、その内容は多岐にわたっています。

地球科学の領域としての「地層」をひとつ取ってみても、そこには「岩石」「鉱物」「化石」「生物」など、さまざまな分野が関わっていることが分かります。

この広い範囲にわたる領域を理解するためには、実際にそのつながりを目で見て手で触ることが大変重要です。

今回ご紹介する香川県さぬき市の「雨滝自然科学館」は、それら地学に関わる数多くの内容を多角的に学ぶためには最適な場所なのです。

「雨滝自然科学館」(香川県)のご紹介

「雨滝自然科学館」は雨滝森林浴公園内にあり、もともと「世界最古のナマズ科化石」が発見された「雨滝山」(あめたきやま)の近くに開設された学習施設です。



雨滝自然科学館

同施設の館長は私の香川大学時代の先輩である森繁(もりしげる)先生が務められています。

森先生は現在でも折を見てはみずからフィールドワークに出られており、地学の普及に精力的に活動をしておられます。

雨滝自然科学館は山の中に開設されていますが、さまざまな海洋生物やそれらの化石、鉱物や岩石など、地球の歴史と生物に関する数多くの展示が行われていることがもっとも大きな特徴として挙げられます。

四国という大地は、もともと海洋プレートの力によって海底の地層が大陸地殻に運ばれて堆積したいわゆる「付加体」として形成されたものです。

現在ではその付加体は四国の大地や山地という形で私たちの目の前に見えていますが、その中に海洋生物の化石があらわれてくるのはごく意味当たり前のことだと捉えられます。

そのような背景をふまえれば、山の中にある雨滝自然科学館にさまざまな海洋生物の化石が展示されていることの意味についてもより深く理解することができるといえるでしょう。

「雨滝自然科学館」の特徴

雨滝自然科学館にはさまざまな化石や鉱物が展示されています。

館内の写真については掲載できませんが、入口すぐのところには現在の海の生き物の水槽が立ち並んで私たちを出迎えてくれます。

それから通路を進んでいくと、アンモナイトやサンゴをはじめとする海洋生物の化石の他、熱水鉱床の鉱物なども展示されています。

実は、同施設に展示されているサンゴの化石には私が一部寄付したものも含まれていますので、見学に訪れた際にはそれを探してみるのも面白いかもしれません。

なお、展示物については定期的にテーマを設けて入れ替えをされるとのことですので、時期に応じて新たな展示を楽しめるようになっています。

また、同施設の目の前には以下のような地層が露出した場所があり、フィールドワーク体験ができるようになっています。



雨滝山の地層

館長の森先生みずから地層の説明をしてくださったり、地質調査やフィールドワークに関する先生自身の生の体験談を聞くことができたりするかもしれません。

同施設の特徴については以下の動画で解説をしていますので、ご覧ください。


「雨滝自然科学館」の特徴
(画像をクリックで動画を再生)

四国という土地の地学的意義

かつて私は香四国の大学に通っており、大学時代は四国中のさまざまなフィールドをめぐりながら地質や地学について学んできました。

こちらの「『横倉山』を探訪する――日本最古の化石の産地」のページでもご紹介したように、四国という土地は日本最古の化石を産出するなど、地球科学を学ぶ上ではさまざまな知見や示唆を与えてくれる重要な場所だといえます。

その四国という土地に設立された「雨滝自然科学館」には、それら地球科学に関するこれまでの成果が数多く散りばめられています。

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