砂金を見つけるためのポイント――川の岩盤に着目する

日本ではほとんど川で砂金が採れるわけですが、それをより効率的に採集するためには金という鉱物の特徴を押さえる必要があります。

そこで金と似ている他の鉱物との違いを比較してみると、そこには金特有の鉱物的な特徴というものが浮かび上がってきました。

本ページでは、このことをふまえて私自身の経験から導き出された川で砂金を探すためのポイントを伝授していきます。

川で砂金が採取できるポイント

すでに解説したように、砂金はもともと山や大地に含まれる岩石の中にあり、それが雨によって削られることで金の粒子が川の水とともに下流の方に流されていきます。

ただし、この金の粒子は鉱物の中でも比重がかなり大きいため、水や岩石、土砂や泥などよりも深いところに沈み込む性質があります。

このことから、川に岩盤が出ている場所があれば、その底の部分に金の粒子が入り込みますので、その土砂を集めることで砂金が採集できるということになります。

なお、岩盤の中でも上流に向かって傾斜している地層は金の粒子が堆積していく場所になりますので、特に注目すべきポイントになるわけです。



川の流れに対して上流に傾斜している基盤岩

上の図では、図の上側が川の上流となっており、その上流に向かって岩盤の割れ目が傾斜しています。

この逆向きになった岩盤の割れ目には上流から流されてきた金の粒子が落ち込んで堆積し、そこで砂金となって成長していきます。

そのため、このように川の流れに向かって傾斜している岩盤の割れ目の土砂を集めることで砂金を手にすることができるわけです。


砂金を含む基盤岩のポイント
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また、砂金の粒子が堆積するもうひとつのポイントとしては、蛇行した川の「内側」の部分が挙げられます。

川の外側は水の流れが速い「攻撃面」とよばれ、そこでは砂金の粒子も土砂などと一緒に次々と流されてしまいます。


砂金の粒子が堆積する川の「内側」をねらう

逆に、川の内側は土砂が堆積するポイントとなるので、そこに砂金の粒子も溜まっていくことになるのです。

以上の2つのポイントを押さえて、川で砂金が含まれていそうな土砂を探すことが、砂金をもっとも効率よく採集できる方法となります。

砂金を含む土砂を集める

川上に向かって傾斜している基盤岩の裏側には重い金属が溜まりやすい場所になっていますので、その部分の土砂を集めていきましょう。


砂金を含む基盤岩の土砂を採集する(1)
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また、岩盤の土砂に生えた草の根っこの部分にも砂金が含まれていますので、その部分の土砂も集めていきます。


砂金を含む基盤岩の土砂を採集する(2)
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金は比重の大きい鉱物として知られていますが、それがどれくらい重いのかというと、大洪水レベルの水流の動きがあってはじめて動きを見せるというぐらいに重いものなのです。

そのため、以上に挙げた上流に向かって傾斜している基盤岩の裏側というものは、その場所から金が動きを見せない場所にあたり、いわゆる金の「よせ場」というポイントになります。

このようにして採集した土砂を洗って選別することで、砂金を手にすることができるわけです。

川で砂金を採るための前提条件

川で砂金を探す場合によく引き合いに出される話として、「砂金はどこにあるのか?」という問いかけに対して「それは、あなたが見つけた場所にある」というほとんど答えになっていないような問答があります。

結局、これはあなた自身が実際に目の前のフィールドでどのような行動ができるのかにすべてがかかっているということをあらわしているのです。

これは砂金に限った話ではないのですが、たとえば自分がある岩石や化石を採集しようとしたときに、実際のフィールドでどこに注目すべきなのかが分からないとまったく見当違いの行動を取ってしまい、フィールドでの調査や活動がすべて徒労に終わってしまうということが起こってしまいます。

私自身、これまでも身の回りのいろいろな川で砂金を採ろうとしましたが、そのポイントがズレてしまっていたために砂金がまったく含まれていない土砂を集め続けては、結局それがまったく見つからずにただ疲れだけが残ったという苦い経験をしたことが多々あります。

そのため、川で砂金を見つけるためには、まずはそれが含まれている土砂をいかに多く集めることができるかにすべてがかかっているといえます。

川で砂金を採ることにとどまらず、みなさんが実際のフィールドで自分がどのように動くことができるのかには、そのフィールドの一帯がどのような地層や岩石でできているのかという事前の知識がその指針となってくれるわけです。