砂金採り道具としての「カッチャ」の特長

川で砂金採りをする際には、それ専用の役立つ道具というものがいろいろと存在しています。

その中でも「カッチャ」は、砂金採りに特化したある意味特殊な道具だといえます。

今回は、このカッチャを取り上げ、その道具としての特長についてご紹介していきましょう。

「カッチャ」の特長と使い方

「カッチャ」は一般的にはあまり知られていませんが、砂金採りをする上では欠かせない道具であり、実際にこれが活躍する場面は多々あります。

このカッチャは主に北海道における砂金採りの歴史の中で発達してきた道具で、以下の写真のような逆三角形で先端の尖った鋤(すき)や鍬(くわ)のような形状をしています。



カッチャ(中サイズ・小サイズ)

なかなか独特の形状をしていますが、カッチャはここに挙げた以外にもさまざまな種類と大きさが存在しています。

以下の動画では、このカッチャがどういった道具なのかについて解説をしています。


砂金採り道具「カッチャ」の特長
(画像をクリックで動画を再生)

カッチャは中央部分がくぼんでいて、砂金を含む土砂をすくい取った際に、それを外に逃さないような構造になっています。

カッチャの本家本元である北海道では、砂金が含まれている川の土砂をこのカッチャですくい上げ、それをこぼさないように砂金採り用の「ねこざ」(砂金用の編みカゴ)に入れるという作業を繰り返していきます。

このカッチャの使い方については、以下の動画で説明をしていますので、ご覧ください。


砂金採り道具「カッチャ」の使い方(1)
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なお、私の場合、砂金を含む土砂をカッチャですくい上げた後には、以下の動画のようにスルースボックスの入口の部分に土砂を流し込んでいき、砂金を採集するという方法を行っています。


砂金採り道具「カッチャ」の使い方(2)
(画像をクリックで動画を再生)

水の中の土砂をすくい取るという作業を通常のスコップを使って行うと、水中からすくい上げた際にそこに含まれている砂金が流れてしまうというおそれがあります。

しかし、このカッチャを使うことで砂金を逃さずに集めることができる点が砂金採り用の道具としてのカッチャを使うことの最大のメリットだといえるでしょう。

「カッチャ」のその他の活用法

また、カッチャは土砂をすくい取るだけでなく、その頑丈さを活かして砂金を含む土砂をより効率的に集めることにも使えます。

私たちが普段使っているスコップやシャベルなどの厚みは1~2mm程度ですが、カッチャに用いられている鋼鉄は硬い金属でできている上に、5~6mm程度の厚さがあります。


カッチャ(上・中)とスコップ(下)の厚みの違い

通常、私たちが土砂を掘り起こそうとするときには、スコップやシャベルを使うことを考えると思います。

しかし、このスコップやシャベルで砂金を含む土砂を掘り出そうとすることは、かなり難しい作業となる場合があるのです。

砂金採りにおいて砂金を集めるには、当然のことながら、砂金を含む土砂を収集することが必要ですが、この砂金を含む土砂というものはなかなか厄介なところがあります。

砂金は数ある重鉱物の中でもひときわ重いという性質があるため、川の土砂の中でもより深い部分に堆積していきます。

このときに問題となるのは、より深い場所に堆積した土砂には、大小さまざまな岩石が含まれている上、それらが長い年月を経ていくと、非常に強い力で固結した地層を形成していきます。

このように堆積した土砂を通常のスコップやシャベルを使って掘り起こそうとしても、その固結した土砂の固さやそこに含まれている大小の岩石に負けてしまって掘り起こせないうということが出てくるのです。

このようなときに威力を発揮するのが、まさにカッチャなのです。

カッチャに使われている金属はかなりの硬さがあることに加え、鋤や鍬のような形状になっているため、振り下ろして固結した土砂を掘り崩しやすいように作られています。

実際、スコップやシャベルでは大小さまざまな岩石に阻まれてまったく手が出なかった土砂であっても、カッチャであれば面白いように掘り進むことができるようになります。

以上のように、カッチャは川の中にある砂金をすくい取るだけでなく、固結した土砂をより多く集めることにも長けた砂金採り専用の道具だといえます。

砂金採り専用の道具を知る

カッチャは主に北海道の砂金採りの中で独自に発展してきた道具で、より高性能なカッチャになると、そこに用いられている鋼鉄が二重構造になっており、使えば使うほど表層が研磨されていくことで先端が刃のように鋭くなり、土砂のさらに深い部分にその先端を入れることができるというものも存在しています。

砂金採りを始めた頃にはカッチャは使っていませんでしたが、それを手に入れて実際に砂金採りの現場で使ってみると、その使い勝手の良さからよく考えられた道具であることをつくづく実感します。

砂金採りは身体を動かすことの多いものですので、いかにその負担を少なくして砂金を集められるかには、どれだけ砂金採り専用の道具を準備できるかにかかっているといえるでしょう。