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板村地質研究所

「なぎビカリアミュージアム」（岡山県）のご紹介

岡山県勝田郡奈義町は昔から「ビカリア」という貝の化石が発掘できる場所として非常に有名なところで、私自身も30年以上も前に何度もこの地を訪れてはそこでビカリアの化石を採集していました。

このビカリアは円錐状のトゲのついた巻き貝の形をしており、こちらの「ビカリア」のページに掲載しているものは、まさに私がこの場所で採集したもので、私が行う地学の授業のときにもその実物を生徒に見せています。

ビカリア

その後、奈義町には「なぎビカリアミュージアム」が開設され、現在ではビカリアをはじめとしてさまざまな海洋生物の化石の発掘を体験できる場所として生まれ変わっています。

なぎビカリアミュージアム

なぎビカリアミュージアムについては、こちらのなぎビカリアミュージアムのホームページページをご参照ください。

さて、今ではこのような非常に立派な施設が建てられていますが、実はこのなぎビカリアミュージアムは、私にとって非常に思い入れの深い場所のひとつになっています。

30年以上も前の話になりますが、私がビカリアを採集していた頃にはこの敷地には大きな鶏舎が建っており、まさにこのミュージアムの建物のある真下の地面のところでさまざまな化石を発掘していたことをよく覚えています。

なぎビカリアミュージアムについては、以下の動画で解説をしていますので、ご覧ください。

「なぎビカリアミュージアム」の特徴
（画像をクリックで動画を再生）

なお、ミュージアムへの入館料は、高校生以上一般が300円、中学生・小学生が150円、小学生未満は無料となっており、私自身も何度か高等学校の生徒たちを連れて訪れたことがあります。

ミュージアムの施設内にはビカリア以外にもさまざまな化石が展示されていることに加え、建物そのものが化石が埋まっている地層の山の斜面を覆う形で建てられているために、その地層を直接見ることができるようになっています。

化石の発掘を体験する

ビカリアは新生代第三紀の中新世に棲息していたという特徴を持っており、地学の地質年代を考える上でもビカリアが含まれている地層がどの年代にあたるのかをあらわす「示準化石」としての役割を担っています。

また、ビカリアはマングローブが生い茂るような温暖な浅瀬の海に棲息していた生物です。

今でこそ奈義町周辺は高い山に囲まれた平野部のある地域となっていますが、約1600万年前のこの地域一帯は浅い海に覆われていたということになります。

なぎビカリアミュージアムから北方の那岐山（なぎさん）を望む

なぎビカリアミュージアムでもっとも特徴的なことは、施設のすぐそばに発掘体験場所が設けられており、化石の発掘体験ができることです。

なぎビカリアミュージアム 化石採集の体験学習場

1時間200円が必要ですが、このなぎビカリアミュージアムの化石発掘体験コーナーではたくさんの化石を見つけることができます。

職員の方にお話をお伺いすると、年間1万人前後の方がこの施設を訪れているとのことで、実際、たくさんの親子連れの方が地中に隠された宝物を探すかのように化石の発掘を楽しんでいました。

私自身の経験からしても、通常、化石を発掘することはかなりの難しさがともなうことなのですが、この地域一帯の地層にはビカリアをはじめとして非常に多くの海洋生物の化石が多数含まれていて、この化石発掘体験コーナーでは大人も子どもも誰でもすぐに化石が見つけられるのです。

この化石発掘体験ができるなぎビカリアミュージアムは、化石の発見や採集の楽しさを私たちに教えてくれるという意味で非常におすすめできる場所だといえます。

地学におけるフィールドワークの重要性

地学という科目のひとつの特徴として、さまざまな分野と領域で構成されていることが挙げられます。

実は、同じ地学の教師といっても、その人が元々どの分野に興味を持っているのかについては本当にさまざまで、生物や化石に興味を持つ人もいれば、岩石や鉱物、気象や海洋、天体観測や天文学が好きな人もいます。

地球科学を考える上ではどの分野も切っても切れない関係にありますが、古代の生物や化石、当時の地球環境を考えることに興味のある人にとっては、化石を発掘してその面白さを実際に体験できるなぎビカリアミュージアムはぜひとも足を運んで頂きたい場所だといえます。